
現代の難病の一種、レット症候群とは?
神経系の障害を主体とした発達障害のひとつに、レット症候群があります。
1966年に初めてこの症例について学界に発表した医師、Andreas Rett(アンドレアス・レット)の名前をとって名付けられました。
レット症候群は、現在のところ効果的な治療法や症状の進行を食い止める手段が見つかっていない難病です。
発病の仕組みなど詳細も不明なレット症候群
1999年に遺伝子的な主要原因としてMECP2(Methyl-CpG-binding protein2 遺伝子)の変異が確認されていますが、発病の仕組みなど詳細についても、残念ながらまだ明らかになっていません。
日本では国が定める「小児慢性特定疾患」のひとつに加えられており、18歳未満の患児の療養にかかる費用が医療費助成制度の対象になっています。
男の子がこの遺伝子を持っている場合、胎児の時または生まれて間もなく死亡する確率が大変高いことから、患児はほとんど女の子です。
レット症候群の症状は?発症はいつ頃?
症状の発現は、ごく重篤な場合をのぞいて周産期や生後すぐ発症することがきわめてまれです。生後6ヵ月~1歳半頃まで、発育は普通またはやや遅いかなという程度の違いであり、障害に気づかないケースが大半ですが、だんだん月齢・年齢と比べて発達の遅れが出るようになります。
また、その頃と前後して、いったん獲得した運動機能が急速に退行するのが大きな特徴となっています。
特に手の運動に関して退行が特徴的で、筋緊張の低下や目的を持った手の運動機能の消失(スプーンを持てるようになっていたのに、持てなくなるなど)が起こり、替わりに「手もみ」と呼ばれる特徴的な動作(手を洗うような、またはもみ合わせるような動作)が見られるようになります。
そのほかに、歩行や座位が困難になる、知能に遅れが見られる、言葉を話すことができないなどの発達障害が生じます。
脳の神経系が遺伝子異常のために充分な発達を遂げることができず、このような障害が生じると考えられています。