
私と同居している父83歳のことです。
今から3年前くらいから父の様子が変わってきました。とにかく疲れている様子で、毎日やたらと居眠りをするようになりました。
ベッドで寝込むことはなかったのですが、ソファーに横たわって寝てばかりました。
それが始まったのが暑い夏の季節でしたので、暑さにやられているのかしら?夏バテかしら?くらいに考えていたのです。
けれども1週間、2週間経っても眠いのが取れないようで、ほぼ一日寝ているのでした。
高齢になったこともあるでしょうが、それまでの父の性格からすると毎日まめに家事を手伝ってくれ、いつもよく動いていたのでこんな姿は初めてです。
そこで気になってネットで「高齢者 寝てばかりいる」ということばで検索してみました。すると「脳こうそくの前触れ」や「認知症の始まり」というようなことが出てきました。
まさかと思いましたが、年齢も年齢ですし、そういうことも起こりうるかもしれないと心に留めていました。
そのうちに父の発言が弱気だったり否定的なことばかり言うようになりました。
「もうこんなんじゃお父さんだめだ。」と言ったりしました。
また何か用事をお願いしても「できない。できない。」とやりたがりません。
それと体調のことが気になるようで、ここがわるい、あそこが痛いなどと何度もしつこく自分の体の不調を訴えてきました。
そんな様子でしたので包括支援センターに電話して相談しました。
すぐにセンター長が家に来てくれて地域の体操教室に参加することを勧めてくれました。
帰り際、否定的な言葉ばかりを言う父の様子を見たセンター長が「認知症の始まりかもしれないし、老人性うつなどこころの病気もあるかもしれない。」と助言してくださいました。
まさかと思いつつも、このままにしておいてはいけないと思い、近所の心療内科に電話をしてみましたがもう患者がいっぱいだと断られてしまい、東京の大学病院に行くことになりました。
そこは「老年科」という科でしたのでこころの病気の専門ではありませんでした。
でも広く浅く老人のかかる病気を診てくださるところでした。
色々こころの質問、認知症のテストなどし、また後日には脳のMRIや血流の検査をしました。
その結果、老人性うつとアルツハイマーと両方あると言われてしまいました。
想像はしたことはありましたが、まさか本当にそのような病気になってしまったとは、しかもダブルパンチで本当にショックでした。
その後病状は進んでいき、うつの面で言うならば「この肉は生焼けで食べられない。」「この冷蔵庫は壊れている。」「このファックスはおかしい。」「うちにお金がなくなって今に大変なことになる」「保健所から人が来てうちの犬を連れていく。」などなど事実ではないことを疑うようになりました。
料理を一生懸命に作っても「生だから食べられない。」と本当に食べないので大変困りました。
水分も「いらない。いらない。」と言って飲んでくれません。
「そんなんでは死んでしまうよ!」とつい焦って叱ってしまうこともしばしばです。
実際体重がみるみる減ってついに35kgのがりがりになってしまいました。
そのうち東京の病院までは行かれない状態になり、近所の病院に移りました。
ところがそこは老人の精神科と認知症を専門にしているところだったので本当に助かりました。
今までの経緯をよ聞いてくださり、また新たにレビー小体認知症の検査もしてくださり、今まで飲んでいた「アリセプト」(アルツハイマーの薬)を中止しました。
そして「トレドミン」(抗うつ剤)を少量だけ飲むようになりました。それに加え、食欲が増すように「六君子湯」を出してくださいました。
それが父にとっては良かったようで、否定的なことばがだんだんに減っていき、嫌がっていた飲食もするようになってきました。
それで1年くらいして体重が元に戻ることができました。
今もまだ老人性うつはありますし、認知症もあるのですが、先生と相談しつつ薬を調整し、皆が穏やかに暮らしていけるくらいの状態を保っていますので大変感謝しております。
願わくば完全に治ってくれればいいなぁと夢見ております。