異常なこだわりを持つ甥はADHDでした。【体験談】
数年前、姉夫婦の生まれたばかりの甥が、ADHDと発覚しました。
当時、私は姉夫婦とは別居しており、甥がそのような障害を持っているという自覚はないままでした。
甥は幼少期、パズルが苦手で、手先が不器用。よくヨダレを垂らし、かなり短気で、言葉を覚えるのがかなり遅い子供でした(一歳半ぐらいまで、「ママ」とさえ言わないぐらいでした)。
しかし、言葉が遅いのは男の子だし、家系的に不器用なのはおじいちゃん(私の父)の遺伝だから、という周囲の言葉もあり、納得していました。
その遺伝というのが、まさか発達障害の遺伝だとは、誰も思いもしなかったと思います。
ちょっと変わっているかな、と思ったのは、私が姉夫婦と同居し、甥にアニメのビデオを観せていたときのことです。
二歳ちょっとの甥は、一度そのアニメを観ると、毎日毎日、一日に何度も同じビデオを要求しました。
しかも、驚くべきことに、何度も観ているうちにセリフを全て暗記していたのです。
すごい集中力だな、と私は思いました。一時間半の映画のセリフや、ストーリーの流れを暗記することなんて、大人にも出来ません。
しかし、そのときも、「子供だからこういうこともあるのかもしれない」と誰も疑問に持ちませんでした。
その後、甥はADHDと発覚。
幼稚園から小学校にあがると、彼の障害は目に見えて周囲から浮くようになりました。
まず、集中ができない。机に座っていられず、どんなにわかりやすく教え含めてもわからないと投げ出す。
テレビをつけて勉強しようものなら、一分ももたずにテキストから目を離してしまいます。
その様子をして、周囲の子供たちから「バカ」と言われ、結果的に特殊学級に入ることになりました。
さらに、物事に対して異常なこだわりを持っています。
特に彼がこだわるのは、食事でした。漬物の匂いや、ごはんの固さにかなり神経質で、少しでも異常だと感じると箸を置きます。
肉の繊維にも非常に敏感であり、合成された肉のごりっという食感を感じたものなら、怒りだす始末です。
絶対に食べようとはしません。
このような症状で、家族が困っていたところ、私の母がぽつりと姉(甥の母)と、父(甥の祖父)の幼少期について語りました。
私の父や叔父、そして姉も、幼少期は甥と似た子供だったというのです。
みんな授業に全く集中できず、ぼーっとしており、かなり物忘れが多い子供でした。
変なところに異様に神経質で、うまくいかないとキレてしまうことがたくさんあったようです。
つまり、甥のADHDは、遺伝によるものだったのです。
しかし、姉も父たちも、幼少時は特殊学級に入ることはありませんでした。
私の目から見ても、甥の症状は、「学校によくいるちょっと浮いた子」ぐらいしかなりません。
甥は、確かにADHDには違いないのでしょうが、生まれてくる時代によっては、健常児とみなされたのかもしれないのです。
それが良いか悪いかは別として、発達障害に関して、もう少し世間の理解が広まってくれればいいと願うばかりです。